殿様千石たこ道中小説


三匹が斬る!外伝 第七幕


 ここで物語は、事件の一年程前に遡る。 メリケン国のとある片田舎、大きな湖に面した草原に一組の男女が腰を下ろしていた。 それは、一目見て異国の者と分かる着流しに身を包んだ浪人と、 「くのいち」のような動きやすい着物に身を包んだ少女であった。 真南で輝く太陽の穏やかな光の下、微かに草の香りが混じった心地よい風を身体に受け、 ふたりは湖に釣り糸を垂らしていた。 静寂が支配する中、背後に広がる森の中から時折、小鳥のさえずりが聞こえてくる。 と、森の小鳥が一斉に飛び立つ羽音が聞こえた。 少女が森のほうを振り返ると、白馬にまたがった精悍な顔つきの青年の姿が目に入った。 「あ、ラヴァール様…」 「どうだ小春、何か釣れたか?」 少女と青年は英語で言葉を交わした。 ラヴァールと呼ばれたこの金髪碧眼の青年は、森の奥にある村において 若者達のリーダー的存在となっている男である。 「いえ、朝から何も…」 「ははは、そうだろうな。  この湖には20年ほど前から巨大な魚が棲みついているからな。  ほとんどの魚はそいつに食われてしまったんだ」 馬上の青年は少し残念そうに笑った。 「ほう、それは面白い。その魚、俺が釣ってみせよう!」 少女の隣に座っていた浪人、矢坂平四郎が目を輝かせて答えた。 「おいおい殿様、そいつは噂では俺たちの身体程の大きさの魚だぞ。本気か?」 「もちろんだ。メリケンの土産に丁度いい」 その言葉を聞いた青年の顔が微かに曇った。 「やはり…帰るのか?」 「ああ。村の者たちには随分と世話になった。  …ふとメリケンに来たくなって海を渡り、そしてまた、故郷が恋しくなったから帰る。  メリケンに来ても俺の性分は変わらぬようだ」 「そうか…。まあ、止めはしねえよ。あんたの好きにすればいい」 「ああ。しかし、とりあえず土産の魚を釣り上げるまではここにいるつもりだ」 平四郎は視線を釣り糸の先に戻した。 「ふふ」 ラヴァールには、平四郎が自分たちに気を遣ってこんなことを言っているのでは ないことが分かっていた。 おそらく平四郎は、本気で巨大魚を釣り上げるつもりなのであろう。 大人の身長ほどもある魚を細い釣り糸一本で釣り上げるなど夢物語のような話だが、 この男ならやりかねないと思わせる何かが、平四郎にはあった。 ラヴァールも一緒になって、釣り糸の先に視線を落とした。 ふと、先ほどから黙ってふたりの会話を聞いていた小春の顔が曇った。 「ラヴァール様、あれは…」 小春は、ラヴァールの背後の森を指差していた。 平四郎とラヴァールも、その先に視線を向ける。 小春が指差した先、森の遥か後方に、一筋の煙が立ち昇っていた。 「ん…、リューズの奴ら、もう戻ってきたのか?」 ラヴァールは首をかしげた。 阿片の密貿易で儲けている闇商人の組織を潰した仲間たちが村に戻ってくるのは 明日のはずである。 村では今、凱旋パーティーの準備が執り行われているはずであった。 平四郎たちが黒い煙を見つめていると、その煙は瞬く間に数を増やしていった。 「まさか!」 ラヴァールは突然叫ぶと、森の中に向かって馬を疾走させた。 「ラヴァール!」 平四郎も釣竿を投げ出し、その後を追って走る。 平四郎が釣竿を離したのとほぼ同時に、釣竿を強い「引き」が襲った。 慌てて釣竿に手を伸ばそうとする小春だったが、構わずふたりの後を追った。 釣竿はそのまま、強い力で湖の中に引きずり込まれていった。  その頃、森の奥の村では凄惨な光景が繰り広げられていた。 民家には火が放たれ、逃げ惑う村人達は次々と銃弾の前に倒れていく。 村に残っていたわずかな若者は剣や農具を片手に 予期せぬ侵略者達に立ち向かうが、侵略者達の近代兵器の前では無力に近かった。 「歯向かう者は容赦なく殺せ。老人もだ。女と子供は殺すな。捕らえておけ!」 豪奢な緋色のマントに身を包んだ男が、銃を片手に号令をかけていた。 「ハルス様、どうやら首謀者のラヴァール達はここにはいないようです」 悲鳴と怒号が錯綜する中、 目つきの鋭い猫背の小男が緋色のマントの男の傍に駆け寄り、状況を伝えた。 「まったく、他愛もない。  本当にここがバウンス商会やアルファラ一家を潰した革命軍の村なのか?」 緋色のマントの男、ハルスはつまらなそうに猫背の男を睨み付けた。 この村の若者達の多くは、自ら「革命軍」を名乗り、 奴隷貿易や阿片密貿易などによって私腹を肥やす闇組織相手に、 祖国の誇りを取り戻すための戦いをメリケン国の各地で繰り広げていた。 この村は、いわば革命軍の発祥の地であり、隠れ里としての機能も果たしていた。 「はい。間違いありません。主力部隊はまだ戻っていないようですが…」 猫背の小男、ゲスプは陰湿な笑みを浮かべた。 「ふん、つまらぬ。後はお前に任せた。ラヴァール共の首を持ってこい」 そう言い残すと、ハルスは緋色のマントを翻して立ち去った。  「…これは」 村に戻ったラヴァールは自分の目を疑った。 出かけるときのにぎやかな村の姿はそこにはなく、 焼け焦げた家々の残骸や、剣を握ったままで蜂の巣にされた躯が所々に転がっていた。 仲間の凱旋を祝うための飾りつけは無残に道に焦げ落ち、 動くものといえば所々でくすぶっている火ぐらいであった。 「誰か…いないのか?!」 ラヴァールが震える声で叫ぶと、一軒の家から微かなうめき声が聞こえた。 ラヴァールは短銃を構えると、声のした家の扉を蹴破り、中に飛び込んだ。 目を凝らして辺りを見渡すと、薄暗い建物の奥、 猿ぐつわをはめられて柱にくくりつけられた村の老人の姿が目に入った。 ガシャン! 「!」 突如、窓ガラスを割って導火線に火をつけられた筒状の爆弾が投げ込まれてきた。 ラヴァールはとっさに、机の上に置かれた爆弾を手に取ると、 家の外に飛び出し、力の限り放り投げる。 ドヴーーーーーン!! 爆弾は轟音をあげ、空中で爆発した。 「ぐわぁぁぁ!!」 とっさに左手で目をかばったラヴァールだったが、 爆発の衝撃で身体は大きく吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。 「おいおい、ラヴァールをはめるための罠だったのに、  わけのわからん男が引っかかったぞ」 焼け焦げた家々の陰から、 猫背の小男ゲスプと短銃を構えた十数人の男達が姿を現した。 「…貴様、何を勘違いしている…。俺がラヴァールだ」 身体中に負った火傷と激痛で身体を起こすことすらできないラヴァールは 道の真ん中に転がったままでゲスプを睨み付けた。 「なんだと!……は、ふはははは、これは失敬。  噂ではラヴァールとは鬼神のような男と聞いていたが、  ジジイひとりのために自らの命を捨てるような男だったとはな。  ふははははは、こいつは愉快だ。」 ゲスプは笑いが堪えきれないとばかりに腹を抱えた。 「貴様か、この村を襲ったのは?!」 ラヴァールは右手に握ったままの短銃を持ち上げようとするが、手の感覚すらなかった。 「正確には、俺の雇い主。武器商人ハルス様だ」 唇の端に薄笑いを浮かべながら、ゲスプは短銃を構えたままゆっくりと歩みを進める。 「他の、村の者達はどうした?!」 「村の者より自分の心配をしたらどうだ。…まあいい。冥土の土産として教えてやろう。  生きて捕らえた者たちは全員、日本行きの船に乗せるそうだ。  ま、新型阿片の効果を証明する実験台としてでも使われるんじゃねえのか」 ラヴァールの傍で立ち止まったゲスプは、短銃の標準を彼の眉間にあわせた。 「そろそろ死ね」 ゲスプが引き金を引こうとしたその瞬間、 シュッという空を切る音とともに、何かが彼の右肩に突き刺さった。 「ぐわっ」 突然のことにゲスプはよろめき、銃弾は大きく軌道を逸らした。 「誰だ!」 ゲスプが視線を向けた先には、砂塵が舞い上がる中を疾走してくる浪人の姿があった。 「あいつが革命軍に味方する日本人、トノサマか。ええい、撃て!」 ゲスプの周りの男達が短銃を構えたその時、 どこからともなく飛んできた炸裂弾が彼らの足元で爆発した。 それとほぼ同時、道の端から飛び出してきた小春が、彼らの中に斬り込んだ。 意表をつかれて男達が戸惑う中、抜刀した平四郎も斬り込んでいく。 接近戦用の武器を持たない十数人の男達は、 斬った相手を楯にしながら駆け回るふたりの前に次々と斬り捨てられていった。 「貴様ら、動くな!」 ゲスプがラヴァールを人質にとり、コメカミに短銃を突きつけたとき、 十数人いた男達はすでに3人しか残っていなかった。 「さあ早く剣を捨て…ぐお」 ゲスプの身体が突如、大きくグラついた。 指先すらも動かせないはずのラヴァールが渾身の力を込めて体当たりしたのである。 その一瞬の隙をつき、小春は3人の男達を一瞬で葬り、 平四郎はゲスプを一刀の元に斬り捨てた。 「ラヴァール!」 倒れたまま身動きひとつしないラヴァールの傍に、平四郎と小春が駆け寄った。 「村…守ることができなかった。あいつらに申し訳が…ゴフッ、ゴフッ」 「今はもう喋るな。後のことは俺に任せろ」 平四郎はラヴァールを静かに横たえ、ゆっくりと立ち上がった。 「許さん!」 ラヴァールの意志を受け継いだ平四郎はこの後、 傷ついたラヴァールに代わって常に革命軍の先頭に立ち、 メリケン中の闇商人達から「黄金の国の悪魔」として恐れられる存在となっていた。  そしてその1年後、舞台は再び日本に戻る。  「…様、殿様」 明かりひとつない闇の中、木にその身を横たえて静かに瞑想をしていた平四郎は 自分を呼ぶ声に目を開けた。 「リューズか」 「はい。至急お伝えしたいことがあります。よろしいでしょうか」 平四郎達は今、幕府によるメリケン人狩りの追っ手から身を隠し、 相模湾付近の水車小屋で寝泊りしていた。 見張りをしていた平四郎の傍に歩み寄ったリューズは、その横で片膝をついた。 「奴らの中に潜入させていた者からの伝令です。  奴らは今、すでに日本の近海まで船を進めているそうです」 「何?まだ取引の日までは数日あるはずだが…」 「はい。もしかしたら奴ら、我々の動きに勘付いて取引の日取りを早めたのかもしれません」 「もしそうだとすると、まずいな…。ラヴァールからの援軍が間に合わぬ」 平四郎は眉間にしわを寄せて考え込んだ。 「…殿様、私達は2日後の明朝、奴らの船に奇襲をかけようと思っています」 「何、早まってはならぬ。相手の戦力を掴みきれぬ状況下での奇襲は命取りとなる」 「いえ、相手の戦力が強大であればこそ、取引場所で日本の戦力と合流されてからでは  取り返しがつかなくなる恐れがあります」 「ならば、せめて千石と合流してからだ。  あいつはあれで、味方にすればこの上なく頼りになる男だ」 相手の顔すらも見ることができない深い闇の中、短い沈黙が辺りを支配した。 「お心遣い、感謝します。しかし、これ以上あなた方を巻き込むわけにはいきません。  殿様は小春を連れ、この場を去ってください。後のことは我々がやります。  もし我々の作戦が失敗したその時は、せめて日本だけでも…」 「リューズ!  俺は今まで、ラヴァールに頼まれたからお前達に協力してきたのではない。  俺は、人々を苦しめて私腹を肥やしている悪党共が許せないだけだ。  ここで奴らを逃せば、日本であれメリケンであれ、さらに多くの人々が苦しむことになる。  俺も共に行く。良いな」 平四郎の声には、強い決意が感じられた。 「殿様…。分かりました。よろしくお願いします」 リューズは深々と一礼した。  「おーいタコ、どこまで歩くつもりだ」 八丈島の山道を、頭の前にお手製の小型提灯を吊るした陣内と囚人服姿のままの千石が 尾根伝いに歩いていた。 「とりあえず島の反対側まで。  こうなった以上、千石は牢破りとして追われるだろうからね」 「はあ、やっぱりあの島奉行、斬ったほうがよかったんじゃねえか」 千石は歩きながら、虫に咬まれたらしい左足を器用にポリポリと掻いた。 次の瞬間、前を歩いていた陣内が急に立ち止まり、千石はその背中に頭をぶつけた。 「痛ってえなあ。何で急に止まるんだよ」 千石が視線を上げた先に、着流し姿の男がひとり立っていた。 男の周りの木には、鬼火のような小さな明かりがいくつか吊るされていた。 その灯りに微かに照らされた青白い顔は、明らかに日本人ではなかった。 右肩から胸にかけて刃で大きく切り裂かれた生傷があり、包帯からは血がにじんでいたが、 その青白い顔はまるで魂を抜かれたかのように表情がなかった。 「千石、お知り合い?」 陣内が冗談交じりに呟いた。 その答えを千石が発するより早く、どこからともなく「チリン」という鈴の音が鳴った。 鈴の音を聞いた瞬間、目の前の男の顔が憤怒の形相に一変した。 「タコ、来るぞ!」 後ろを向いていた陣内に、千石が注意を促す。 男は腰の両側に指していた「先の鋭い十手」を素早く引き抜くと、 声ひとつあげずに前方に駆け出した。 「何だかよく分からないけど、やるしかないか」 闇の中の一本道では、このまま引き下がるというわけにもいかない。 陣内は腰の後ろに手を回すと、伸縮自在の槍「ノビタロウ」を引き抜いた。 「タコ、気をつけろ。こいつの殺気、只者ではない」 後ろで千石も腰の同田貫に手を掛けた。 相手が自分の間合いに飛び込んだ瞬間、陣内は鋭い突きを繰り出した。 「シャーー!」という音を立て、ノビタロウは相手の胸を目掛けて一直線に伸びていく。 槍が胸に刺さる直前、男は2本の「十手」でノビタロウを挟んだ。 「え?」 陣内が槍を引き戻す暇もなく、男は剛力でノビタロウの先端を曲げてしまった。 「ああ、さゆりの形見が…」 慌てて槍を引き戻そうとする陣内だが、曲げられた槍は伸びきったまま動こうとしない。 一方、男は地面を強く蹴ると、一瞬にして間合いを詰めた。 「タコ!」 慌ててノビタロウを離して間合いを取ろうとする陣内だったが、 それより一瞬早く、その腹に十手が突き立てられた。 「う…ウソォ」 後方に飛び退いた陣内は、腹を押さえて地面にうずくまった。 「タ、タコーーーーー!!」 怒りの形相の千石は、陣内の上を飛び越えながら抜刀すると、 鋭い一撃を男の頭上に振り下ろした。 男は2本の十手を交差さえて受け止めようとするが、 千石の刀を軌道をわずかに変えただけに過ぎず、左肩にその刀を大きく食い込ませた。 しかし。 男は「ニイッ」という笑みを浮かべると、 2本の十手を放り投げると左手で同田貫の刃を掴んだ。 「何だと!」 驚きの表情を張り付けた千石の左頬に、男の右拳がめり込んだ。 「グハッ」 千石はその手に同田貫を持ったまま、左の斜面に叩きつけられた。 男がなおも千石の顔面に向けて拳を繰り出そうとした瞬間、 「ガウン!」という音と共に、陣内の短筒が火を噴いた。 右胸に銃弾を浴びた男は声も上げずにヨロヨロとよろめくと、 足を踏み外して右の斜面を転がり落ちていった。 「ハア、ハア、俺達がふたりがかりでようやく互角だと…。あいつは化け物か…」 左の頬を押さえた千石は、ヨロヨロと陣内のほうに近寄った。 短筒を持った陣内も立ち上がり、腹に手をやった。 「おいタコ、大丈夫か?」 千石が心配そうに覗き込む。 「うん。お腹のところに、たまたまボロ布が入ってて助かったよ」 陣内は懐から手を入れ、「ボロ布」を取り出した。 「…タコ、それ、俺の着物…」 陣内の手に握られていたのは、千石の黒い着物だった。  「あー、やっぱり腰のところがちょっと破れてるじゃねえか」 敵が残していった「鬼火」の灯りをたよりに、千石は手早く着替えを済ましていた。 「おかげで俺の命が助かったんだからいいじゃない。俺の命と着物、どっちが大切なの?」 「…」 タコの問いかけに、千石からの返答はなかった。 「おーい、何か答えなよ」 振り向いた陣内の視界の隅に、額を押さえてうずくまっている千石の姿が映った。 「おい、千石。どうしたの、大丈夫?」 タコが慌てて駆け寄ろうとするが、 「来るな!」 額から大粒の汗を流した千石が強い調子で制止した。 「…逃げろ、タコ」 そう言った後千石は頭を左右に振り、何かを振り払おうとしているようだった。 そのとき、先ほどと同じ「チリン」という鈴の音が響いた。 「おい、千石、どうしワッ!」 慌てて駆け寄ろうとする陣内に向けて、千石は同田貫を抜き放った。 陣内はこの時初めて、灯りのほうから漂ってくる微かな香りに気づき、口元を押さえた。 「何だ。この匂いは…?」 一瞬、心がフワフワと軽くなる一方で、身体中の血液が沸騰するような興奮に襲われた。 「フフフ…、どうやら大きな鼠が2匹、罠にかかったようだな」 突如背後から聞こえた声に、陣内は背中に悪寒を感じて振り返った。 そこには、ボロボロの着物を着た修験者がひとり、立っていた。 陣内が忍び込んだ島奉行の屋敷にいた男である。 「久慈慎之介…、彼は私が操らせてもらった」 修験者の口から発せられた低い声は、 陣内に対してまるで巨大な肉食獣と対峙しているかのような本能的恐怖を感じさせた。 「お前はどうやら、ほとんど香りを嗅がなかったようだな」 そう言った修験者は、左手を挙げた。 すると、辺り一面に「ウォー!」というオオカミの遠吠えのような高い声が響き渡り、 陣内に向かって四方八方から無数の殺気が近づいてきた。 「我らの取引を邪魔しようとする者よ、ここで死ね」 修験者がもう一度「チリン」と鈴の音を鳴らすと、千石が陣内に向けて斬りかかった。 「わっ…と。山でオオカミの群れに囲まれたときは……」 陣内は両袖の中に手を入れた。 「とりあえず、逃げるべし!」 袖から手を引き抜いた陣内は、手持ちの煙玉の全てを足元で爆発させた。 次の瞬間、辺り一面は煙で包まれた。 第八幕に続く


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