殿様千石たこ道中エピソード集


エピソード集(前期)


1.初代三匹が斬る!

第一話「十万両、ここが名代の浮世風呂」

 「松の湯」の下に十万両が眠っているという噂。千石は聖天一家の用心棒となり、トロッコに岩石だの木材だのを満載して馬で引き、トロッコの縄を切って風呂屋に突っ込ませて商売の邪魔をしていた。

 風呂屋にたまたま客として居合わせた殿様は、千石を殴りつけ、斬り合いが始まるが、奉行所の与力が現れ、収まった。また店先の露店でたこが吸い出しを売っていた。

 殿様に汚いやつと罵られた千石は聖天一家を裏切り、たこ、殿様とともに風呂屋に居候することになる。その夜、三人で夢を語り合った。

「知ってるよ、たこの吸出しだろ」
「おやすみ」
「ちがうよ、そうだけどね、ちょっと違うんだ」

 立ち回りでちょっと苦戦するような演出。悪役は山本清、宮口二郎、石橋雅史、久富惟晴の4人。宮口さんと石橋さんは台詞が殆どなかったのに悪党の存在感が出ていた。

 父親を殺された「松の湯」の娘、お恵(杉田かおる)が仲間になる。いつも何かぱくぱく食べてる女の子。京への味修業。

キャスト
風呂屋(藤岡琢也),聖天一家の頭(遠藤太津朗),聖天一家代貸(桜木健一), 聖天一家構成員,(岩雄正隆、中田博久),魚屋(オール阪神巨人),町奉行(山本清), 与力(久富惟晴),奉行の手下(宮口二郎、石橋雅史)

第二話「花一輪、雨も上がるか中山道」

 ギャグも少なく地味な話だが、しっとりとした良い話。将軍様から拝領した扇子のために2つの藩が争っているのを見て、「こんなものがあるから争いが絶えないんだ」と殿様が扇子を斬って捨てた。

第三話「仇討ちの乙女も愛でよ秋花火」

 藩の採用試験を受けるために走る千石を、親の仇と勘違いした2人の男女が襲い、採用試験に間に合わなくなる。

 一方、千石のために採用試験の順番待ちをしていた殿様は筆記試験に受かり、実技試験では金を受け取る約束をしてわざと負ける。

第四話「赤トンボ花嫁行列通りゃんせ」

 冒頭で千石が露天風呂に入る。千石のいた宿屋が若君暗殺をもくろむ連中に乗っ取られる。千石が結構頭を使う。子供を逃がそうとしたお父さんは斬られない。城代家老は切腹。

第五話「空っ風、可愛い女の恨み文字」

 列幣使と名乗り悪事を働く京の公家、農民にまで若い女を手当り次第、夜伽に出させる始末。

 ふとでもの清吉が無残にも殺される。これを見かねた千石は1人で本陣に斬りこみに行こうとする。そこに殿様登場。「朝廷の勅使を斬れば村人は皆殺し」と千石を止める。しかし意見が対立しお互いマジに斬り合った。

 結局千石が斬りこまなかったせいでその日夜伽に出た娘達が数日後自害してしまい、千石は殿様のことを「権力の前には小さくなる卑怯者」と激怒した。

 その後、頭の回る殿様は、村人や藩に危害を加えずに列幣使を斬る最良の策を練り、斬る。この回の意見のすれ違いと真剣な斬り合いはすさまじい物がある。刀を一合あわせただけで剣技は披露していない。

 笹木俊志さんと峰蘭太郎さんは、三匹シリーズで悪徳公家が登場したとき、また側近で登場した。

 関東でこの話が再放送されなかったのは、「ふとでもの」という言葉か、女達が夜伽にされて自害するという設定が原因か。「ふとでもの」は、お坊さんが実際に書いて丁寧に意味を説明してくれるので音を飛ばせない。

キャスト
清吉(江藤潤),例幣使(西田健),例幣使側近(笹木俊志、峰蘭太郎),幕府警護頭(小林昭二)

第六話「鬼と呼ぶ男に惚れて薄化粧」

 千石がお医者様を尊敬して刀を置いてまで付き人をする。殿様がうなぎ食べる。第三話でも食べてた。好きなのか?

第七話「勇み肌、男はご法度女人里」

 千石が貰ったおにぎりを座って食べていたら蛇(まむし?)が近づいてきたのに、逃げられずに咬まれてしまう。おにぎりをくれた女人里の人が助けてくれた、というところで「蛇が怖いの?」と笑われていた。

 殿様と千石の立場が逆。何より立ち回りの最後、逆光で黒白の部屋、真紅の反物が舞う中敵を斬る場面が大変綺麗。千石の着物が元々黒いため、色が統一されていて絵的に良かった。

第九話「十手旅、義賊が吹いたシャボン玉」

 千石が蛇を怖がって「わー、とってくれー!」と大騒ぎしていた。で、おやじさんに笑われていた。

 十手持ちのおやじさん(罪を犯した自分の息子を追っている)の、わらじの鼻緒が切れるのを千石が(たまたま)当てて、感心される。このおやじさんは持病があって、発作を起こして話せなくなっているときに千石が勝手に通訳していた。

第十二話「信濃路は鯉や鯉やで恋わずらい」

 千石が一時の恋を体験する内容。案の条、最後は大方の予想通りのオチ。たこが火薬の量を間違えてドッカン!

第十三話「冬椿、越すに越されぬ女郎坂」

 道に迷ったお恵ちゃんが丸太の橋を渡っていたら足を滑らしてしまって、川に落ちて泣きながら歩く。そこに居合わせたせいじろうに助けられ、足をくじいていたので背負われて行った先のお寺にたまたま殿様がいた。

第十四話「まぼろしの母を訪ねて地獄旅」

 泥棒の頭が付け眉毛・ひげで変装して、まるで水戸黄門だった。たこと千石が逗留していた温泉宿に現れた。

第十五話「信玄の幽霊見たかおしゃれ鳥」

 鬼がでるということで人気が全くない町中でたこが店を開いていたときに、後から着いたお恵ちゃんが声をかけた。お恵ちゃんが「あっ、たこ!」たこが「あっ、でこ!」で、お恵ちゃん、自分のおでこをペシッ。

 この後、九官鳥を見つけ、その飼い主(庄屋の娘)の家にお世話になるが、その庄屋というのが武田信玄の末裔で戦国時代そのものという人だった。

第十八話「父と娘の生き血を絞るにせ大名」

 明石藩のご落胤を名乗るにせ大名行列が現れる。家老(戸浦六宏)と警護頭(睦五郎)率いるこのにせ行列は、貧しき浪人から仕官を世話するからと支度金を巻き上げ、そして結局は仕官させないで追い返すという詐欺師集団だった。

 千石は同じく仕官を目指す老浪人(土屋嘉男)と出会い、その娘にほのかな恋心をいだく。

 仕官のためということで娘をご落胤の夜伽をさせられ怒り心頭の老浪人は、けじめをつけるため警護頭との立会いを申し込む。しかし、金策のため刀は竹光になっていたので、木刀から真剣で立ち会おうと言われ老浪人は困る。

 それを見ぬき不敵笑いをする警護頭。老浪人は斬られ、三匹のもとに明石藩からの早飛脚がやってくる。食い物にされ、非業の死を遂げた浪人たちの恨みを晴らすべく、三匹の怒りの刃が振るわれた。

 たこは槍もちの武家奴と戦い、仕込み槍をのばして長さを自慢する。敵の槍の方が長そうなのでちょっとがっかり。そして2〜3人倒し槍を奪ったあと「へへへ・・・これで千本目か・・」とつぶやいた。当時、たこの趣味は槍を千本集めることだった。

第二十話「かごで行く噂の名医は吸血鬼」

 千石は虫歯が痛くなり、名医の屋敷で止められるのも聞かずに押し入り、医者に薬を貰っていた。実はこの医者、名医「法眼」の成り代わりの偽物で、殿の命を狙う悪党だった。

 2度目に痛くなったとき、たこの薬を飲んだが効かず、また押し入って貰った薬が牛をも殺す毒薬で、千石は簀巻きにされて納屋に放り込まれてしまった。

 「おい、千石、飲み過ぎか?」とのんびりした事を言ってる殿様の目の前で、崩れる落ちた千石と、驚く殿様。

 千石は死にそうになりながらも法眼(偽)を待ち伏せし、フラフラになりながら(殿様の援助もあってだが)法眼(偽)を豪快に切り捨てた。回復に1ヶ月かかっていた。

第二十一話「さらば三匹!満開の悪の花咲く京の都大路」

 陣内が京都町奉行、板倉内膳正だと判明。


2.続三匹が斬る!

第一話「女の砦降るは涙か血の雨か」

 奉行に戻ったたこが公費着服の内偵中、殿様と千石に助けを求める。たこが殺しの下手人にされる。

 織物師になるのが夢という京都郊外の庄屋の娘、お千(藤代美奈子)が仲間になる。武芸百般に通じているアバンギャルドなファッションの女の子。特撮っぽい格好で、スリもできる。

第二話「雇われの三日亭主で剣難女難!」

 立派な夫とは家族の為に汗して働く夫の事だと言う殿様がかっこいい。

第三話「上様の茶は甘いかしょっぱいか」

 千石と殿様の生き方の違いを見せ付けられるような回。たこが地上5メートル(推定)の塀に驚異的な跳躍力で飛び乗り、カメラ目線にてキメポーズをとった。

 脇役が良い味を出してた。皆何か切ない過去を持っているような気がして。最後に、家老の片桐殿が切腹をするシーンも印象に残った。

 殿様が発つときに片桐様に「しかしながら、今の拙者は無為無禄。誰にも、何の恐れもありませぬ。」と言った。

 この回の半分を過ぎた辺りでゆきじ殿が筆を滑らせていた時の音楽は、色々な所で使われているがサントラには未収録。

第四話「お七様のイジメが元で不倫妻」

 紀州藩の威光をかさに悪行を尽くすお七里(紀州お抱えの飛脚・葵のご紋をかさに威張る威張る!)と七里役所の役人をブッタ斬ったとき、初めて殿様が懐紙で刀を拭って投げる。

 殺陣のシーンで殿様を睨みつける御木本伸介のバックにある葵のご紋が印象的。

 御木本を斬ったあと懐紙で刀をぬぐったあと、千石が「やったな、殿様!!」と声をかけ、たこが「平ちゃんかっこいい、おれもやろう」といって真似するが、束になって落ちてきた。

キャスト
小諸藩士兄(高岡健二),弟(山本陽一)兄嫁(山本みどり),紀州藩七里役所頭(御木本伸介), お七里1(野口貴史),お七里2(福本清三),その腹心(丘路千),小諸藩藩主(石山律雄),兄の仲間(石田信一)

第五話「忠犬と力丸、娘十八盗っ人稼業」

 千石が用心棒をしていた村の庄屋の家が凶賊(首領・藤岡重慶)に襲われる。千石をはじめ雇われた用心棒は奮戦するが殆ど全滅。他の用心棒を助けようとして千石も左肩のあたりを斬られる。

 立ち回りの時も、千石は斬った時「あいた〜」といって肩のあたりを押さえながら腕を振り回して奮戦し、凶賊の剣術使い・小峰隆二さんを斬った。(怪我は治りが早かった)

第九話「連発銃、昨日の友は今日の敵」

 20連発の火縄銃の争奪戦。殿様はそんな物騒なものは持ち主に返し処分してしまおうとする。千石は代官に頼まれ(こいつが本当の悪)他の浪人たちとともに火縄銃を朝廷の刺客から奪い返す。朝廷の公家はなかなか手強く、浪人はほとんど全滅する。

 公家を難なく斬り倒した千石だったたが、そこに殿様と持ち主が現れ、火縄銃を持って帰ろうとする。千石は「志を共にしながら死んでいった浪人のためにも渡すわけには行かぬ、たとえ殿様でも斬る!」といって斬り合いになりそうになった。

キャスト
代官(中田浩二),腹心の部下(成瀬正孝),悪徳庄屋(西山辰雄),鉄砲鍛冶の父(垂水悟郎), その娘(生田智子,)京の公家の刺客(石倉英彦)

第十話「浜千鳥、幻の父恋しオルゴール」

 背景の富士山の映像も美しくて、とても良い話。

 少しずつお千ちゃんの演技がナチュラルになり、台詞も増えている。この頃から千石がうっすらと髭をはやし始める。のちに殿様から突っ込まれ、「いやちょっと」とごまかす。

第十二話「さすらいの姫君、哀れ菊一輪」

 白装束?の人達の死体が沢山転がってるところを上から取ったカットは凄惨。

 お公家さん(大納言)が、都を追われた別の公家一行(少納言)を道中、宿を貸さないように仕向けたりしてイジメ抜く。理由は、その公家の娘に縁談を断られたから。性格的にかなり陰険だった。

 殿様が、最後の立ち回りのときに、この大納言にちょっと左腕を斬られた。大納言は実は相当な剣の使い手で、『麻呂の秘剣』は菊一文字斬り。

キャスト
小納言(滝田裕介),その長女(朝比奈順子),次女(栗田陽子),御付の公家侍(和崎俊哉), 殿(山内としお),大納言(小松方正),側近1(笹木俊志)側近2(不明)

第十四話「人質の母娘が送る流人舟」

 千石とお千が泊まった宿に強盗が入って、強盗は宿泊客を人質にとって牢に入っている囚人の解放を迫る。奉行が取り引きに応じなければ、人質の命はどうなるかわからない。

 しばらく時間が経過して、おびえながら一室にかたまっている宿泊客たちのもとに、強盗の一人が現われ、「おい、おまえたちの中で一人、選んでおけ。やってもらうことがある」と言う。一体何をさせられるかわからないので、みんな顔を見合わせている。

 そこで千石が、「よし、くじ引きだ。女子供以外の男たちでくじを引いて、当たった者が行くんだ」と提案するが、「ここにいる男ったって、あんたとあたしと、それからあの人と、3人しかいないじゃないか」

 「お侍さん、やっぱりみんなでくじ引きしようよ」というわけで、くじ引きが始まる。一人一人、千石さんの持ったこよりを引いていって、はずれが出るたび、ホッと息をつく。やがて、残りのくじが2枚になり、おじさんが震える手で引くと、はずれ。

 「ああ、やっぱりオレかあ。しかたないなあ」と千石。最後のくじをくしゅくしゅっと手で握りつぶしてしまう。

 「お侍さん、優しいね。最初から、全部はずれだったんだろ」「ば、ばかな。そんなことあるもんか」「そのくじをみせてごらん」けれど千石は、これははずれなんだと言い張って、火鉢の中に押し込んでしまう。

 「続」になってから殿様主体の話が多くなったような気がするが、久々に千石がいいところを見せた。

千石:「みよちゃんって言うんだ。ねっ」
みよ:「ねー、慎ちゃん!」
千石:「はあい〜」

第十五話「箱根路は湯煙立って鬼退治!」

 温泉宿の女将、お時役で財前直美さんが出演。やくざ者に脅されているところを殿様に助けられた。

第十六話「名物の喧嘩団子が結ぶ恋」

 因縁ある向い同士の団子屋(犬塚弘・春川ますみ)が張り合う。いがみ合っていた両者だったが、実は互いに好きだったことを告白し、「せめて自分の子供たちにはこんな思いはさせてはなんね」と打ち解けた。

 ふたりは、宿場を食い物にしようとする悪代官(久富惟晴)と悪徳商人(田口計)の手にかかる。三匹は、悪代官達が公儀に売りつけようとしている荒地にのりこみ、千石が丸太ごと悪徳商人を斬った。

 殺陣シーンの前、千石が崖の上から飛び降りるシーンある。しかし殿様とたこはいつのまにか降りていて何ごともなかったように斬る。

 殿様が作った団子は形が不ぞろいで団子屋のおかみさんに怒られた。

第十八話「さらば三匹、今宵大江戸の露と消ゆ!?」

 お千が実はさる藩の跡取娘で、兄が暗殺されたことにより、藩を乗っ取ろうとする謀反人一味を三匹に退治してもらう。お恵(杉田かおる)が念願かなって小料理屋の女将として登場。お千の兄に恋心を持ってた。また、高橋英樹さんが2役で登場。お千の婿養子伊達亀之助として。

 お恵とお千の命を狙った福本さんと高見さんが、千石に一蹴され『覚えておれ』と捨て台詞を吐くが、『そんなまずい面は忘れん』と言われた。

キャスト
お千の兄(宮内洋),善玉江戸家老(幸田宗丸),悪玉江戸家老木戸帯刀(原口剛), その腹心海老名(江見俊太郎),木戸の部下1(福本清三),木戸の部下2(高見裕二), 若年寄稲葉美濃(溝田繁)

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