殿様千石たこ道中


登場人物紹介


1.矢坂平四郎(殿様)

−心−

 決断力があり、三匹のリーダー的存在。礼儀正しく、旅先の人々からも慕われていた。そのおおらかな人柄と堂々とした態度から、仲間達からはどこかの国の殿様ではないかと思われていた。

 まがったことが大嫌いで義に厚く、常に争いごとに自分から首をつっこんでいく。第一話ではさっそく千石を殴っていた。最初はその性格のために、相手を選ばずに用心棒になる千石とよく喧嘩をしていたが、千石は徐々に殿様のその生き方に理解を示すようになる。

 互いに抗争中のやくざ者の用心棒となった千石と斬り合ったときは、お互いの前払いの銭の山分けを条件に二人で逃亡するという気さくな一面もあった。また女性には弱く、お蝶から逃げ回っていた。

−技−

 豪快で鋭い刀さばきが魅力。立ち回りの後には懐から数枚の紙を出して刀に付いた血を払い、そのままその紙を空に放り投げた。たこにその仕草を真似されたこともあった。最後にひらひらと散らす紙は、たこが補充してる。「はい殿様、次のぶん」とたこが渡すと「あいよ」と殿様が受け取る。

 刀の銘は「堀河国広」で、刀身が長い。疫病が大流行している宿場に父にワクチンを投与された子どもを連れていく話で番組中一度だけ刀の銘が登場した。流儀は小野派一刀流(のちに殿様流)。

−体−

 千石に「殿様は育ちがいいから」と言われ「だからこそ分かることもある」と答えたことから、実際に育ちがいいと思われる。未公開シーンで、国元にいる要領が悪い兄の存在が語られる。シリーズ中盤からは着流しオンリー(しかもどんどん派手になる)だが、最初ははかま姿もあった。

 「痛快」ではメリケン国に旅立ったという設定で出演がなかったが、ちょうどその時高橋さんが他局で「江戸の用心棒」に出演していたため江戸で用心棒をしてるのではないかと疑われていた。


2.久慈慎之介(千石)

−心−

 千石取りが夢で、最初はそのために手段を選ばないこともあったが、相手にだまされて利用されることも多かった。ただし、相手が悪い人間だと分かるとよく裏切った。あと一歩というところまでいくこともあったが、実現不可能な状況になったり自分から放棄したりして、結局は浪人に戻っていた。

 常に汚い格好をしていて、店の横を通っただけで、たこに「なんか臭わないか。あ、やっぱり千石だ。」と言われていた。千石の着物は一度も洗っていないらしい。役所さんが「徹子の部屋」に出演されたときに、「子供が学校で『お前のお父さんいつも汚い格好で腹すかせてるんだよな”』と言われるそうです。」とおっしゃっていた。

 腹をすかせて倒れることも多く、お地蔵様のお供えを盗み食いして村人達から罰当たりと言われることもあった。不器用だが腕っぷしに自信があり、用心棒や薪割りの仕事をして食べ物をもらっていた。

−技−

 同太貫(どうたぬき)という銘の刀を用いた。その太刀さばきは豪快で、怒りにまかせて相手を斬っていた。特に空腹の時に自分を馬鹿にした相手や自分が惚れた人を殺した相手には容赦しなかった。流儀は示源流。

−体−

 薩摩出身の元公儀隠密。「久慈」は初恋の人の婚約者?の名前だった。初恋の人(黒田福美)に「慎さんが久慈を名乗ってるなんて・・・」と言われた。髪型の名前は「根結びの垂髪」?

 「ニュー」のときには主君のために友を斬ったことをきっかけに仲間と別れて自分をみつめる旅に出た。生き仏のための千日修行をするが、飯のうまさに感動して浪人に戻る。「痛快」では殿様に代わって主役を務め、立ち回りの時には笠を飛ばしたり鉢巻きを締めたりという演出をしていた。


3.燕陣内(たこ)

−心−

 唯一シリーズ全部に出演しており、暗くなりがちな時代劇を明るくするのに欠かせない存在。たこというあだ名は、自分は甲賀忍者の末裔だと自慢しようとしたときに強引につけられたもの。名前の由来は、第1話でたこの吸出し売りだったから。

 千石が術で操られたときには、術が解けた後にも千石に水をかけようとし、そのことを千石からツッコまれると、「たたかいの前に手を洗ったほうがいいよ。」とアドリブ(?)で答えて千石に手を洗わせたり、視聴者に向かって語りかけたりしていた。

 立ち回り後の千石との会話も面白く、「こいつ今動かなかったか。とどめさそうか。」「俺達って強すぎるよな。どこも怪我してないだろ。」など数々の名言を残している。

−技−

 立ち回りでは仕込み槍を使ったが、短筒だけで相手を倒したりもしていた。目つぶしの火薬の量を間違えて敵を全滅させたこともあった。引き抜いた槍がそのまま背後から斬りかかってきた相手に刺さって謝ったこともあった。「痛快」の最後の数話では、構想三年の槍「のびたろう」を使った。二丁拳銃を用いたこともあった。

 立ちまわりがはじめどうしてもできなくてスタッフ泣かせだった。逃げようとする商人などを殺すことが専門だったが、次第に上達していき、仲間達から強くなったと言われていた。最終的には自称「東海道一の槍の使い手」になった。

−体−

 元京都町奉行。口上がうまく、よく偽物を発明して売ろうとしていた。その土地に合わせた商売が好きで、よく悪い商人に取り入っていたが、その商人にだまされた人々の姿を見ると裏切っていた。放送開始時の設定は32歳。「燕陣内、32歳!」ブイ!としていた。


4.吉良右近(千両・若殿)

−心−

 普段は冷静で頭が固いが、祖先を馬鹿にされると激しく逆上する。不正が許せない性格で、陣内のインチキ商売を非難したこともある。また、江戸に残した母親のことを気にかけている。 気に入った女性の前ではあがってしまって冷静さを失う。彼が入ってからは恋愛ものの展開が増えた。

 立ち回りの時は相手にどこの流派かを訊ねるが、相手が答えてくれない時は「河童の川ながれ流か。」や「無言流か。」など自分でつぶやいていた。 相手が柳生新陰流の使い手の時「石舟斎様が泣いているぞ」と言った。

−技−

 右近は子どもの頃からさまざまな流派の剣術を習っているので特に何流というのはない。(柳生新陰流は十五の頃に身につけた)

 様々な剣の流派に通じていてそれぞれに対処することができるが、「流派を持たない相手は苦手だ。」の言葉通り最初は立ち回りもぎこちなかった。「ニュー」では逆手斬りで斬っていたが、「痛快」では相手が流派を持っているときに限ってすばやく逆手に持ち替えて 対処をしていた。

−体−

 吉良上野介の子孫であり、元風烈廻り同心。参勤交代の大名たちから八百膳へのツケを取り立てる役目に就き、千両というあだ名で千石の代わりに「ニュー」で旅に加わった。「痛快」の初回スペシャルで将軍御用始末係に嫌気がさし、再び旅に出る。

 「痛快」に移るにあたって袴姿から着流しに着替え、相手が銃を持っているときは合口のようなものを投げていた。千石に「若大将」「青大将」「若殿」の中からあだ名を選ばされて「若殿」にしたものの、あまり定着しなかった。呼ばれるときでも「若」なので「若大将」でもよかったのだが。


5.お蝶

−心−

 シリーズを通して最も長い間旅に加わっていた女性。殿様に自分を妻にしてくれと迫り「だんな様ー」と言って追いかけまわした。三匹との旅の間のできごとを書き留め、「殿様千石たこ道中」を売り出して人気作家になる。

−技−

 スリとして財布を盗むなど、三匹のサポート役として活躍。初登場時、殿様の財布を取ろうとして殿様に取り押さえられるが優しく諭される。それが元で一目惚れしたお蝶が「旦那様ー」と旅について行く。

 これを機にスリをやめたお蝶だが、悪者が持っている証拠を「ねぇ、あれほしいでしょ?」などといっては「今度だけだぞ」などといってスリを働いた。ぶつかった相手の財布を反射的に取ってしまったこともあり、その技術はかなり年季が入っているものとみられる。

−体−

 「続」のお千(藤代美奈子)に代わって、「続々」で三匹のお供に加わる。一度は抜けたこともあったが、日光で三匹と再会してからは再び三匹と旅を続け、江戸に戻ってからは作家の仕事を続けた。

 余談であるが、「痛快」には「猪鹿お蝶」という役名で八代亜紀さんがゲスト出演し、同じくゲスト出演の大仁田厚さんと千石の三人で酒を飲むというシーンもあった。


6.陣之介

−心−

 まだ幼いため周りのことがよく分からず、お涼とともに陣内のインチキ商売の片棒を担ぐことが多かった。陣之介は台詞が別録りだったのだろうか、声が浮いていた。また、劇中ではあまり笑うことがなかった。

−技−

 まったく芝居の邪魔にならない(笑)。時代劇スター総出演クイズ番組の三匹からのNGクイズで、一人だけNGを出さなかったのが実は陣之介くんらしい。

−体−

 陣内と南町奉行鳥居甲斐守の娘、小百合姫(樹木希林)のあいだにできた子供。小百合姫が陣内に強引に迫って婿にするが、小百合姫が本当に惚れていたのは千石であったため、慎之介からも二文字とって陣之介と名付けられた。

 母親が亡くなり、陣内が家族に絶縁されたため、「ニュー」以降は陣内が旅に連れていった。甲府近在の百姓の娘で陣内の弟子のお涼(桂木麻智)に面倒をみてもらうことが多かった。


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